脊椎センターのご紹介

松戸整形外科病院・脊椎センターでは、日本脊椎脊髄病学会の認定を受けた3名の脊椎脊髄外科指導医(下記リスト参照)が、脊椎疾患の専門的治療にあたっており、年間約140件の脊椎手術が行われております。当センターでは当院の「安全で最高の医療を」という理念に基づき、知識・経験豊富な医師、看護師、理学療法士などの医療チームが連携をとり、一人一人、個々の患者さんに最も適した医療を行っております。また、常に質の高い最先端の医療を提供出来るよう、1年に数回の学会参加・発表を継続しております。脊椎疾患は神経を含んだ運動器官の疾患であり、診断、治療方針の決定、手術は簡単ではありません。そのため、診察には時間がかかり、外来の患者さんにはお待たせする時間が長くなることもあります。また、即日の緊急手術を必要とする患者さん、重度脊髄麻痺や内科的合併症のある全身状態の悪い患者さんなど、治療に他科との連携を要する場合は、近隣の総合病院に紹介することもあります。

脊椎脊髄外科指導医リスト

主な脊椎疾患のご紹介

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管は背骨、椎間板、椎間関節、黄色靭帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです(図1)。

図1 脊柱管の構造

腰部脊柱管狭窄症は加齢により背骨が変形し、椎間板が膨らんだり、黄色靭帯が厚くなって脊柱管が狭くなり、神経が圧迫を受けることによって起こる病気です(図2)。

図2 腰部脊柱管狭窄症

最も特徴的な症状は、歩行と休息を繰り返す間欠性跛行(かんけつせいはこう)です。これは、背筋を伸ばして立っていたり歩いたりすると、太ももや膝から下に痺れや痛みが出て歩きづらくなり、前かがみになったり、腰かけると下肢の症状が和らぎまた歩けるようになるが長い距離を続けて歩くことが出来ない、という症状です。下肢の痛み、痺れが片方だけである場合は、「神経ブロック」が非常に有効です。当院では年間800~900件の神経根ブロック治療を行っており、腰部脊柱管狭窄症の患者さまに対する神経根ブロック治療の効果を調査したところ、9割の患者さまで有効性が認められ、下肢痛が軽減することがわかりました。

◆ 参照論文:片側神経根型障害を呈する腰部脊柱管狭窄症に対する神経根ブロックの有効性について

しかしながら、狭窄が高度で歩行障害が進行し、日常生活に支障をきたす程となったり、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてり感や尿の出が悪くなったりという症状が出るような場合は、手術が必要となります。当院では、腰椎椎弓部分切除術(開窓術)という手術を行って、後方から椎弓という骨の一部と黄色靭帯を取り除いて、脊柱管を広げ神経の圧迫を取り除きます(図3)。患者さまの年齢、職業、症状によっては3cmの皮膚切開で棘突起を2つに割ることで筋肉の障害を最小限に防ぐ方法も用いています。

図3

腰椎変性すべり症

腰椎変性すべり症は、椎間板の変性のために腰椎の骨が前後にずれて不安定に(グラグラに)なることによって起こる病気です(図4)。腰部脊柱管狭窄症を合併していることが多く、下肢の痛み、痺れ、間欠性跛行など腰部脊柱管狭窄症と同じような症状が出ます。すべり症の患者さまでは、コルセット治療により、腰椎を安定にすることで症状が軽減することが期待できます。また、すべり症による片方の下肢の痛み、痺れに対しても神経根ブロックは有効ですが、当院のデータでは、すべり症で腰椎が不安定な患者さんでは有効率は6割と、腰部脊柱管狭窄症の患者さんよりは効果が劣ります。

◆ 参照論文:片側神経型障害を呈する腰部脊柱管狭窄症に対する神経根ブロックの有効性について

図4

コルセットやブロック治療を行っても症状が軽減しない場合は、手術治療が選択されます。手術は、1)椎弓という骨の一部と黄色靭帯を取り除いて、脊柱管を広げ神経の圧迫を取り除き、2)不安定な腰椎をインストゥルメントと呼ばれる金属製のネジを使用して固定し、自分の骨を移植して安定にする、という2つを目的とした後方除圧固定術を行っています(図5)。当院では、出来るだけ出血を少なく筋肉を傷めないよう、“低侵襲”の手術方法を行っています。

図5

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板は繊維輪と髄核でできていて、背骨をつなぎクッションの役目をしています。腰椎椎間板ヘルニアは繊維輪に裂け目ができて髄核の一部が出てきて神経を圧迫し、神経が炎症を起こして腫れてしまうために症状を出す病気です(図6)。主な症状は腰や臀部の痛み、下肢の痺れや痛みで、多くはすねの外側や太ももの後ろからふくらはぎにかけて走ります。

図6

治療の基本は神経の炎症を抑えることです。安静、痛みと炎症をとる薬の内服、神経根ブロックなどの保存治療(手術以外の治療)で症状が良くなることがほとんどです。ヘルニアは高い確率で自然に小さくなることがわかっています。また、MRI画像で椎間板の突出が残っていても、症状がなければ多くの場合問題はありません。保存治療で良くならない場合、職場や学校に行けないぐらいの激しい痛みが続くような時、下肢の脱力、排尿障害(尿が出にくい、尿が溜まった感覚がわからないなど)がある時には後方からヘルニアを摘出する手術を行います。当院では内視鏡のヘルニア摘出術は行っておりませんが、通常のヘルニア摘出術と内視鏡視下ヘルニア摘出術では、下肢の痛みや痺れの改善、職場復帰などの手術結果に差はないことが日本整形外科学会のガイドラインに示されています。

頚椎症性脊髄症

頚椎の加齢変化が原因で椎間板が潰れて膨らんだり、骨のとげ(骨棘)ができたり、靭帯がたるんで分厚くなったりなどの変化が起こることを頚椎症(けいついしょう)といいます。頚椎症の中で、神経(脊髄)の通り道である脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫されて症状が出ることを頚椎症性脊髄症といいます(図7)。

図7

症状は頚髄が障害された時に起こる症状、具体的には手足の痺れ、ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなど細かい動作が不器用になったり、歩行で脚がもつれたり、突っ張る感じや階段で手すりを持つようになったりという症状が出ます。一旦発症すると徐々に進行することが多く、自然に治ることはあまり期待できません。一般的にお箸が使えない、階段昇降に手すりが必要など日常生活に支障が出るようならば、手術的治療が選択されます。手術は、①頚椎椎弓形成術(頚椎の後方から脊柱管を広げる方法)(図8)または、②頚椎前方除圧固定術(頚椎の前方から椎間板や骨棘を取り除いて脊髄の圧迫を除去し、骨盤の骨を一部取って頚椎に移植する方法)(図9)の2つがあり、脊髄症の原因となる病態に応じて術式を決定します。いずれの方法でも、当院ではリハビリテーションを含め2~3週間の入院期間としています。頚椎椎弓形成術では、術後の頚部の痛みを出来るだけ少なくするような手術方法を採用しています。

◆ 参照論文:小範囲椎弓形成術の手術成績 ―3~4椎弓形成術の試み―

図8 頚椎椎弓形成術
図9 頚椎前方除圧固定術
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